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「聴く」ということ

私はレッスンで、

 

「(響きを)聴いてね!」

「もっと、も~っと聴いて!!」

 

と生徒さんには本当にしつこく(笑)言っています。

 

 

音なんて、そんなに必死に聴かなくても、嫌でも耳に入るじゃない…

 

と思われる方もいるでしょう。

 

もちろん、普段身の周りに溢れている生活音とか、雑音、騒音を必死に聴く人はいないですよね(笑)

 

 

でも、例えば大事な人の大事な話を聞くときはどうですか?

しっかりその人の目を見て、一言一句聞き漏らさないようにじっくりと耳を傾けませんか?

 

 

ピアノを演奏する時は、あたかもピアノがその様な大事な人(自分の家族、友達…等)であるかの様に向き合って、

その響き(語り)にじっくり耳を澄ましてほしいのです。

 

 

あなたのピアノは今何を語っていますか?

 

 

先日、4歳の生徒さんのレッスンで、その生徒さんは終わりの音を鳴らした瞬間、こう言ったのです。

 

 

「あ、今の、ピアノさんが痛いっ、って言ったよね」

 

 

そう言うと、今度は最後の一音を優しくそっと弾き直しました。

 

 

私がやり直しを指示したわけではないのに、その生徒さんは自分の耳でちゃんとピアノが何と言ったのか聴いていて、

いい響きと、そうではない響きを判断したのです。

 

私は「いいものを見せてもらった!」とじわーっと胸が温かくなりました。

 

 

そう、私はレッスンの中で、生徒さんがピアノとどんな会話をしているのかを逆に聞かせてもらっているんだな~、

と改めて感じた瞬間でした…。

 

そして、今回のように子供がピアノのお話を優しく聴いてあげている瞬間に立ち会えると、

 

「ピアノの先生っていい仕事だな~」

 

とやはり幸せを感じます…。

 

 

ピアノの響きを聴くということ…

それは、自分が緊張しないでリラックスしている状態でないとよ~く聴けません。

身体や手に力が入っていない時に、ピアノのお話がよ~く聴けるのです。

 

 

生徒さんみんなが、ピアノを演奏するにふさわしい身体と手を身に付けて、ピアノと色んなお話をする様子を、

先生はこれからも楽しみに聴かせてもらおう!と思っています♪